大手クラウドサーバーのサーバーレスサービスまとめ
格安でコスパが高いと評価の高い大手クラウドサーバー3社のサーバーレスサービス。それぞれの違いや無料枠、選び方についてまとめました。
更新日: 2023.12.15公開日: 2022.3.28
大手クラウドサーバーのサーバーレス一覧
まずは、大手クラウドサーバーのサーバーレスサービスを一覧で見てみましょう。
「サーバーレス」の定義は広いですが、ここではアプリケーションプラットフォームとしてのサーバーレスを比較します。
サービス | 名称 | タイプ | 価格 |
---|---|---|---|
AWS | AWS Lambda | イベント実行型 | ¥ 0〜 |
Google Cloud Platform | Google App Engine | 実行環境型 | ¥ 0〜 |
Azure | Azure App Service | 実行環境型 | ¥ 0〜 |
Azure | Azure Functions | イベント実行型 | ¥ 0〜 |
各サーバーレス・サービスの特徴と違い
AWS Lambda
大手クラウドのサーバーレスとして一番人気なのはAWSのLambda。イベント型のサーバーレス環境で、いわゆる「FaaS(Function as a Service)」に当たります。
課金は「リクエスト単位」で、「1か月につき100万リクエストまでは無料」という毎月の無料枠が設定されており、それを超えた場合でも100万リクエストにつき0.2USドルと格安です。無料枠は、1年間の無料体験枠とは別で毎月リセットされます。
Lambdaは、JavascriptやJava、Rubyなどで書いたプログラムを実行できますが、専用の作法があるためある程度の学習が必要です。
Google App Engine
こちらも無料枠が用意されているGoogle App Engine。AWSのLamdbaがイベント型なのに対して、こちらは実行環境を提供する方式で、Herokuなどと同じ「PaaS(Platform as a Service)」になります。
PaaSなので、作成したアプリケーションをそのままデプロイすれば良いのがメリット。
料金については、「インスタンス時間」という特殊な課金設定で、「アプリケーションを実行するための環境を立ち上げていた時間」に対して課金されます。実行環境は、アプリケーションが呼び出される(アクセスされる)と自動で立ち上がる仕組みです。
月間枠ではなく毎日「28インスタンス時間」分の無料枠があり、1日のうちに28時間を超えると従量課金になります。
インスタンス時間とは、「1インスタンスを1時間実行した分」という意味で、例えば、2インスタンスを24時間稼働させると48インスタンス時間となります。
Azure App Service / Azure Functions
MicrosoftのクラウドサービスであるAzureには、FaaSであるAzure FunctionsとPaaSであるAzure App Serviceの両方があります。
Azure App Serviceは毎日60CPU時間分の無料枠が、Azure Functionsは最初の100万実行回数が無料です。この辺りは、AWS、Google Cloud Platformを意識した課金体系になっています。
Azure FunctionsはAWS Lambdaの、Azure App ServiceはGoogle App Engineの、それぞれ競合という立ち位置で、使い勝手もほぼ同じです。
大手サーバーレスを選ぶ際のポイント
イベント実行型か実行環境型かを選ぼう
かつてはサーバーレスといえば実行環境型(PaaS)がほとんどでしたが、無料からスタートして格安で使えるAWS Lambdaが登場して以来、サーバーレスを選ぶ際は、「イベント実行型か実行環境型か」というのが最初の選択肢になりました。
実行した分だけ課金されるイベント実行型は、格安でコスパが高い反面、単体で出来ることに制限があるというデメリットがあります。
一方で、従来の実行環境型は、アプリケーションをデプロイするだけでローカルで開発したものと同じように動く手軽さが魅力。
どちらもメリット・デメリットがあるので、予算と開発コストのバランスを見て、どちらかを選びましょう。
他のサーバーとの兼ね合いも考えよう
サーバーレスの場合、単体動作をさせることも可能ですが、多くの場合は、
- データベース
- CDN
- APIサーバー
などの複数のサーバー群と一緒に使うことがほとんどです。
その意味では、全てが揃っている大手クラウドサーバーのサーバーレスには他社にはない強みがあります。
注意したいのは、大手クラウドサーバーのサービスは、それぞれ課金形態が異なる点。サーバーレスが安くても、他のサーバーが高ければコスパは悪くなるため、サービスで使う全てのサーバーの総合コストで選ぶようにするのがベストです。
実はコストが増大しやすいのが大手クラウドのサーバーレス
実際に使ってみると驚くのが、大手クラウドのサーバーレスは見た目の料金表よりもずっとコストが増大しやすいという点です。
FaaSは使い方次第ではすぐに100万リクエストの無料枠を超えてしまいますし、PasSはアクセスが多い場合は数時間で無料枠を使い果たします。
「これだったらVM(仮想PC)やVPSを使った方が安かった」というのはサーバーレスあるあるなので、まずはABテストなどでテスト運用をしてみて、コスト感覚を掴んでから本番運用するのがおすすめです。
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