VPSのサブスクサービス比較
仮想専用レンタルサーバーであるVPSについての比較記事です。
VPSサーバーとはどんなサービス?
VPSは「Virtual Private Server」の略で、仮想専用サーバーのことです。物理専用サーバーでは、実際に物理的なサーバーを1台専用レンタルできますが、とてもコストが高いのがデメリット。この「価格」という物理専用サーバーのデメリットを解消したのがVPSです。
1台のサーバーに仮想マシンを立ち上げる「仮想化」という技術を使って、1台の物理サーバーに仮想的に専用サーバーをいくつも立ち上げるため、専用サーバーと同等の自由度があります。
VPSではどんなことが出来る?
VPSで出来ることは「サーバーで出来ること全般」というのが答えですが、一般的なVPSの用途としては、
- Webサイトのホスティング
- WordPressサイトの構築
- メールサーバー
- 自前クラウドストレージ
- FXサーバー
- ゲームサーバー
- バッチ処理
- プログラムのビルド
- APIサーバー
などが挙げられます。
共有レンタルサーバーやサーバーレスでは難しい、「バッチ処理」が出来ることや、「FXサーバー」や「ゲームサーバー」といったプログラムとは異なる運用ができるのもVPSの特徴の一つです。
VPSのメリット・デメリット
VPSのメリットはいくつかありますが、代表的なところでは、
- 専用サーバーの1/10程度の価格でレンタル出来る
- 好きなOSをインストール出来る
- OSをカスタマイズ出来る
- 好きなアプリをインストール出来る
という4点でしょう。
特にOS関連の自由度が高いため、VPSは「サーバーで出来ることは、ほぼ全て出来る」と言っても過言ではありません。
VPSのデメリットは、ズバリ「知識が必要」ということです。初期のVPSサーバーは、ほとんどまっさらの状態になっているので、何かしらの設定やアプリをインストールしないと使えません。
また、VPSは遠方にあるサーバーとリモート接続して操作をするため、サーバーに対して命令をする「コマンドライン(CLI)」を覚える必要があります。
VPSは「レンタルサーバーよりも高い」と言われますが、実はレンタルサーバーとの価格差よりも、この「サーバーを管理するための知識」を得ることの方が圧倒的にコストがかかります。
普通のレンタルサーバーとVPSは何が違う?
普通のレンタルサーバーとVPSの違いは、先程あげたメリットでもある「自由度」です。
普通のレンタルサーバーは、レンタルサーバー事業者が提供しているサーバー機能しか使えません。その意味では、レンタルサーバーというよりも「サーバーの一部の機能レンタル」に近いと言えます。
一方で、VPSは仮想とはいえサーバー自体をレンタル出来るので、サーバーを好きなようにカスタマイズできます。VPSサービスによっては、複数台のサーバーを連結させる機能もあるため、VPSとレンタルサーバーは全く別物と言っても良いくらい自由度が高くなります。
レンタルサーバーを使っていて「こういうことが出来たらいいのに・・・」と思ったなら、VPSデビューのタイミングと言えます。
VPSとクラウドサーバーの違い
クラウドサーバーはVPSを含む総合サーバーサービス
一時期、「VPSからクラウドに移行してコストが下がった」という話題が多く上がったため、VPSとクラウドサーバーは全く別のタイプのサービスのように感じますが、クラウドサーバーはVPS(仮想コンピューティング)機能も搭載したサーバー総合サービスなので、使い方としては同じことが出来ます。
Amazon Web ServiceであればEC2が、Google Cloud PlatformであればCompute EngineがVPSにあたるサービスで、時間課金にはなっていますが、継続して利用する場合はVPSと同じ月額と方式と実質同じです。
よりカスタマイズ性が高いのがクラウドの特徴
クラウドサーバーでVPS(仮想コンピューティング)を使う最大のメリットは、スペックのカスタマイズ性です。
クラウドであれば、vCPU、メモリ、dGPU、ストレージとほぼ全てのスペックをカスタマイズが可能で、VPSではプランが存在しないような、ハイスペックなVPSサーバーを構築できます。
ただし、クラウドサーバーのVPSは、同等スペックのVPSサービスと比較する値段が倍くらい高く、基本が従量課金なので、きちんと管理が出来ていないと、知らない間にたくさん利用してしまって高額請求が来る「クラウド破産」になるリスクがあります。
コスパが良いのはVPS
同じスペックの仮想コンピューティングであれば、コスパは圧倒的にVPSです。サービスにもよりますが、最大でクラウドサーバーの半額程度の月額料金で利用できることもあります。
また、時間課金だとしても「月間の最大はここまで」という閾値があるため、コストの見通しが良いのもメリットの一つ。クラウドと違って、「開けてみたら高額な請求が来た」ということもありません。
VPSサーバーのセキュリティは?
セキュリティは自分で構築する前提のサービス
VPSは「仮想専用サーバーを提供する」サービスなので、セキュリティ機能は基本的に自分でLinuxサーバーにインストールして構築する形になります。
サービスによっては、管理画面からVPSサーバーの前にファイアウォールを設定したり、アクセスするIPアドレスやポートを制限することが出来ますが、基本的にはサーバー本体にファイアウォールなどを導入することになります。
デフォルトでのセキュリティはあまり高くない
新規で導入したVPSサーバーは、すっぴんのLinuxであることが多く、最低限のセキュリティしか導入されていないことがあります。そのため、そのままWebサイトなどを運用するとセキュリティが低いサーバーのまま外部に晒すことになるため、サーバーの乗っ取りなどの被害に遭いやすくなります。
もしLinuxでのセキュリティにあまり詳しくないのであれば、WebARENA Indigoなどのように、サービス側ではデフォルトで外部ネットワークと遮断しておいて、管理画面で必要なポートを開けるタイプのVPSを選ぶと安心です。
VPSの選び方
プラン構成を理解して最適なプランを探そう
VPSのプランは、ストレージ容量でカテゴライズされる共有レンタルサーバーと違って、
- vCPUのコア数
- 仮想メモリの容量
- ストレージの容量
の3点でカテゴライズされます。
同じ1GBプランでも、CPUのコア数が違ったり、逆にCPUのコア数が同じなのにメモリの容量が違うなど、各社違いを出してくる部分でもあります。
VPSサーバーが初めての場合は、どれくらいのコア数、メモリ容量が必要かがわかりづらいですが、とりあえずスタンダードな「2コア・1GB」でテストするのが良いでしょう。
最安値プランでテストをして、徐々にプランアップしよう
VPSを初めて利用する方は、共有レンタルサーバーから引越しのパターンが多く、「どれくらいのスペックで、どれくらいの処理が出来るのか?」がわからないことがあります。
そういう方は、まずは最安値プランでテストサイトを用意して、どれくらい処理が出来るのか(表示が速いのか)をテストしてみましょう。Apacheの負荷テストなども行うとベストです。
負荷テストを試しつつプランを上げてみて、想定する負荷をしっかり捌けるプランを探してみましょう。
VPSは時間貸しタイプがほとんどなので、数時間でテストすれば数台VPSを利用しても100円くらいで済むでしょう。
ピーク負荷で使用率70%くらいでプランを選ぼう
VPSは専用サーバーのように使えるため、高い負荷もかけることが出来ます。しかし、VPSは専用サーバーと違って同じサーバーに他のユーザーも同居しているので、高負荷状態が続くことが嫌われます。
VPSサービスによっては、高負荷状態が続くとサービス側の判断でサーバーを落とすこともあります。
そうした事態を避けるためにも、「ピーク負荷の時に使用率が70%くらいなるプラン」を選ぶのがベストです。
本当にVPSで良いのかを再検証しよう
VPSは自由度がウリですが、サーバーの最適化を自分で行う必要があるため、使い方によっては「共有レンタルサーバーの方が速かった」ということもあります。
サーバーの知識がなければ、一つ上のプランにする必要が出てくるので「サイト表示はあまり速くなってないのに、コストだけ高くなった」という事態になってしまいがちです。
逆に、VPSでサーバーを組むよりも、SaaSやクラウドを使った方が安上がりになる場合もあります。
VPSは自由で使いやすくコスパも高い反面、使いこなせるかが重要になるサーバーでもあるので、「本当にVPSで良いのか?共有レンタルサーバーやクラウドの方がコスパが高くないか?」をきちんと検証しましょう。
用途・ユーザー別!おすすめVPSサーバー
初心者向けのVPS
「VPSは初めてで、使えるか不安・・・」というVPS初心者の方には、国内VPSベンダーの3トップ、「さくらのVPS」「Conoha VPS」「WebARENA Indigo」がおすすめ。
どのVPSサービスも月額1,000円未満からスタートできて、日本語のドキュメントも豊富です。
詳しくは下記のページをどうぞ。
WordPressに最適なVPS
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そんなWordPressサイトを運用するのに最適なVPSサーバーをまとめました。
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